TBSラジオでアフター6ジャンクションという番組があって、色んなカルチャーを紹介していく番組なんですけど、そこで紹介されるマンガがどれもすごく面白いんですよ!!
もうね、本当にハズレなし!!
アトロク聞いてない人にもぜひ読んでもらいたいので番組で紹介されていた本をまとめていこうと思います。(随時更新していきます!)
マンガってどの雑誌に載っているかどんな絵柄なのかで自分で手に取らないものもあるので、新たなマンガを発見できるチャンスになるかもしれません!気になるものがあったらぜひ読んでみてください。
- 2019年5月7日アトロク スカート澤部渡さん
- 2019年8月13日アトロク トミヤマユキコさん 【切なさの中に美しさがある人生のままならなさを噛みしめる漫画特集】
- 2019年5月7日アトロク 中澤孝紀さん 【おすすめ男性誌漫画特集】
- 2019年3月20日アトロク トミヤマユキコさん 【書くこと描くことについて描いている漫画特集】
- 2019年3月14日アトロク 別冊なかむらりょうこさん 【男性でも楽しめる最新少女マンガ特集】
- 2019年2月28日アトロク 中澤孝紀さん 【おすすめ男性向けマンガ特集】
- 2018年12月18日アトロク トミヤマユキコさん、中澤孝紀さん 【年間ベスト2018特集】
- 中澤孝紀さんの2018年ベスト作品
- 2018年11月20日アトロク トミヤマユキコさん 【文学にふれられるマンガ特集】
- 2018年9月4日アトロク トミヤマユキコさん【さくらももこさん特集】
- 2018年7月10日アトロク トミヤマユキコさん【地獄系家族マンガ】
- 2018年6月5日アトロク トミヤマユキコさん【家族や夫婦のあり方を問い直す最新女性マンガ】
- 2018年5月8日アトロク トミヤマユキコさん【熟年主人公マンガ】
- 2018年4月3日アトロク トミヤマユキコさん【労働系女子マンガ】
2019年5月7日アトロク スカート澤部渡さん
水は海に向かって流れる 田島 列島
田島列島先生の5年ぶりの新作!高校の進学を期におじさんの家に居候することになったのは見知らぬ女性でそこから男女5人の奇妙な共同生活が始まる。誰も悪くないけど、いるだけで誰かを傷つけてしまうどうしようもないようなことや、会話の中でズレが生じた時に人がどういうことを思ったかが突き刺さります。
スキップとローファー 高松美咲
田舎で神童と呼ばれて育った主人公が都会の学校に入学して、主人公を中心として周りも自分を見つけていく学園コメディーです。正統派青春物語。
平太郎に怖いものはない スケラッコ
16歳の平太郎は学校へ行かずにお好み焼き屋を営んでいる。そんな平太郎の周りではある日を堺に妖怪が出るようになる。平太郎の周りでは妖怪以外にもいろいろな騒動が起こるのだが、彼は動じることがない。彼はなぜ物事に動じなくなったのか、それがわかると切なくなってしまいます。
波よ聞いてくれ 沙村広明
主人公ミナレはひょんなことからラジオパーソナリティーになる。尋常じゃないスピードで進んでいく会話劇は見ていて爽快です!声に出して読みたいマンガです現在6巻まで出ています!
2019年8月13日アトロク トミヤマユキコさん 【切なさの中に美しさがある人生のままならなさを噛みしめる漫画特集】
心臓 奥田亜紀子
奥田亜希子先生の6年ぶりの新作短編集!子供から大人の女性まであらゆる年齢の女子にままならなさがあると再認識させてくれる作品。女友達がDVクズ野郎と付き合っているけど、その友だちを救うことができないまま友だちづきあいを続けていて、別れなさいと言うのも違うしかと言って見ていて辛いから友だちづきあいをやめるわけにもいかないというままならない話ーニューハワイなどが収録されています。スクリーントーンの美しさも必見です。
宇多丸さんのイチオシの「ぷらせぼくらぶ」もおすすめです。
ゆりあ先生の赤い糸 入江喜和
もともとは編集者で今は刺繍教室をやっているゆりあ先生は夫がある日出先で倒れてしまったと連絡を受ける。しかし、どうも倒れた先がホテルでしかも浮気相手がいるのだが、その浮気相手は美男子だった・・・!平凡な妻としての人生はどこへ行ってしまうのか。ゆりあ先生は基本的には起こった出来事に流されていくのだが、その流され方も奇妙な心地よさがあります。そんなままならない話です。
あした死ぬには、 雁 須磨子
主人公は40代の独身バリキャリ更年期障害の疑いがあり!若い女でもないし、完全に年寄りでもなくその中途半端を切り取って面白く描かれています。わけもなく心臓がドキドキしてくる更年期シーンもリアルで面白いです。主人公のいいところはなるべく老いを受けとめてこの先の将来をどうしようか考えて行きます。
夢中さ、きみに。 和山 やま
BL好きじゃない女性にもぜひ見てもらいたい、男子の淡い友情の物語です!1巻で完結しています!エモい!!
2019年5月7日アトロク 中澤孝紀さん 【おすすめ男性誌漫画特集】
乙女文藝ハッカソン 山田しいた
スポ根より熱い!文化系バトル漫画。小説家のイメージが変わるチームライティングの世界!
ITエンジニアたちが行うハックとマラソンをかけた開発競争ハッカソン。これを用いた集団執筆チームライティング、文芸ハッカソンに青春をかける乙女たちを描く作品。作家を目指し地方大学の文芸部に入部した主人公が個性豊かな登場人物と共にSF、ミステリー、純文学などそれぞれの得意なジャンルを活かし傑作小説の完成を目指していく作品。
小説の執筆は孤独なイメージが今まであったが、集団で作ることによってどんな作品ができるんだろうというワクワク感があります。
描いてみたいけどどう描いたらいいか一歩踏み出せない人やこういう書き方があったのかってなるので入門書としてもおすすめです。
最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常 原作:二宮敦人 作画:土岐 蔦子
事実は小説より奇なり・・・どころじゃない!フィクションより面白い天才芸術家たちの奇妙な生態
芸術大学の東大と呼ばれる超難関校東京藝大。小説家の主人公は藝大生である妻の数々の突飛な行動を目にするうちに東京藝大に興味を持ち、潜入取材をすることを決意。驚異の入試倍率をくぐり抜けてきた藝大生、その日本屈指の天才芸術家の知られざる実態とは!?同名小説のコミカライズ版。
天才と変態は紙一重とよく言われますが、それを体現しているのが藝大生では!?と思えてきます。数々のエピソードを見るうちに自分も藝大に潜入してみたくなります。音楽や芸術や絵など自分の好きなものを突き詰めて時間を過ごしている人の姿は尊く羨ましいです。
入試試験のエピソードも面白く、正解のないような問題も出題され、自分だったらどう答えるだろうと考えさせられたり、体力勝負の試験があったりするそうです!
↓原作
ぐるぐるてくてく 帯屋ミドリ
今すぐ行ける超お手軽アドベンチャー!!小さな冒険は家の近所にもある
とある都内の高校。名前の通りただ散歩するだけの部活、散歩部。方向音痴でなんだか少し頼りない部長の葵と、お調子者だけどさり気なく部長をフォローするできた後輩の歩。そんな二人の女子高生の散歩部としての活動風景をゆるく描いたこちらの作品。舞台は早稲田から池袋を中心に名前は知っているけど何があるのと意外と知られていない都内の街を歩いて迷って隠れた魅力を探っていきます。
実在する場所を歩いているので都内で暮らしていたり、通勤していたりする人だったらここ知ってる!って思う場所が出てくるかもしれません。私は東京にはあまり馴染みはありませんが、もし自分の街に来たらどんな話になるだろうと自分に照らし合わせたりも楽しいです。読むと散歩がしたくなりますよ!
コスモス 光用千春
シンプルでかわいらしい絵とは裏腹にお母さんがある日突然家出をしてしまい、お父さんと小さな娘が2人で暮らさなくてはならなくなるという暗めのストーリー。こういうストーリーは父親目線で語られる場合が多いですが、娘の視点で語られていて、子供ながらにいろいろな疑問を考えているんだなと言うことが分かる作品です。出だしは暗めですが、優しい話なので、そんなに落ち込みすぎることなく読むことができると思います。今年注目の作品です。
イチケイのカラス 浅見理都
刑事裁判官が主人公の話。裁判の話は弁護士や検事が主人公になることが多いですが、こちらは裁判官が主人公の話です。裁判官視点は今まで語られたことがなく、どちらかと言うと機械っぽく?描かれることが多いですが、裁判官だって人間なので色々な悩みや葛藤を抱えていることがわかるような作品です。
2019年3月20日アトロク トミヤマユキコさん 【書くこと描くことについて描いている漫画特集】
優れた芸術作品には自己言及性がある。何かを作る人はクリエイター人生の中で自分の作っているものを追求したくなることもある!ストーリーラインを追う以外にも表現することはなんだろうと考えさせられそれが面白い。
ブルーピリオド 山口つばさ
高校2年生の男の子が主人公。何でもそつなくこなすことのできる彼だけど、夢中になれることがない事が実は密かな悩みだが、ある時絵を描くことに目覚め、東京藝術大学を目指して絵を磨いていく。芸大受験のリアルな部分ももちろんありますが、ライバルが出てきたりと絵画をテーマにした青春スポ根ものでもあります。
絵を描くということは自分が世界をどう捉えているか、自分とは何かを問い直すことでもあり、それを人が見てわかるように表現するということを考えさせられ心が打たれました。
マンガ大賞2019 3位です!
青の花 器の森 小玉ユキ
長崎の波佐見焼の工房が舞台。職人タイプのヒロインとアーティストタイプの癖の強いイケメンが出てきます。波佐見焼はかわいらしい絵が描かれていますが、このイケメンは絵とかいいんで!というスタンスで、そこも考え方が違いそこの対比も面白いです。
職人としてやるか、名前や顔を出してアーティストとしてやっていくかを問われている話です。
読んでいると波佐見焼が欲しくなってしまう、物欲注意な作品です。
宮廷画家のうるさい余白 久世番子
架空の宮廷画家を主人公にした作品です。現代のように写真がなかった時代の絵画の価値がどうだったかなど歴史物取しても面白いし、美術史としても面白いです。
作家さんの作品自体の画風+作中で出てくる作品の画風も描かれているので画力抜群です!
2019年3月14日アトロク 別冊なかむらりょうこさん 【男性でも楽しめる最新少女マンガ特集】
ワタナベエンターテイメント所属のピン芸人。去年から少女漫画の紹介や自身の作品展も開催されておりマルチな活躍をされています。東村アキコ先生のアシスタントも務めておられます!この東村アキコ先生との話がすごく面白かったので、ぜひアトロクをまだ聞いていない人はそちらもチェックしてみてください。

さよならミニスカート 牧野あおい
まだ単行本1巻しか出ていないのにキャストを誰にやってもらいたいと話題になっていたり、映像化が決まっていないのにマンガの宣伝のための実写動画をTwitterなどの宣伝で上げていたりする。世間の注目とても高いです!
元アイドルの女の子が主人公。握手会で腕をナイフで切りつけられるという事件をきっかけに、アイドルを辞め自分が女の子であること自体を否定した女の子が再生していく話です。はじめてアイドルとしてではなく女の子として自分を認めてくれる男の子や周りの人と出会っていきます。また、握手会で自分を切りつけた犯人はまだ捕まっていないという設定で、ミステリー要素もあります。
なぜここまで衝撃かと言うと、小・中学生向けのリボンで連載されているからです。アイドルに憧れる女の子に今まではキラキラとしたいい面しか見せていなかったけど、アイドルの本当の姿を見せている点や、’らしさ’の枠に閉じ込めて生きることはないと早いうちから示す点に今までなかった少女マンガと言えるでしょう。
君は春に目を醒ます 縞あさと
大好きな先輩と同い年だったらいいのに・・・というのが叶う衝撃的な夢の展開が・・・!
主人公は小学生の女の子。近所のあこがれの7歳年上のお兄さんが重い病気にかかってしまい、その時の技術では治すことができないからコールドスリープして病気が治せるまで冷凍されてしまうことに。それからなんと7年後・・・医学の発達によりお兄さんの病気が治り、同い年のお兄さんが主人公の目の前に!また、主人公をいじめていた男の子は7年経って好青年に成長していて、三角関係に発展していく。
SF的な設定だけど、リアルな心情描写で共感できる素晴らしい作品です!
恋愛カタログ 永田正実
今回の特集とは別ですが、なかむらりょうこさんと宇内アナが大盛り上がりしていた恋愛カタログ。宇内アナのベスト少女マンガだそうです。
少女漫画は10巻くらいで終わってしまうことが多いのですが、恋愛カタログはなんと34巻まで出ています。少女漫画界のこち亀!?
今後恋愛カタログ特集来るか!?
2019年2月28日アトロク 中澤孝紀さん 【おすすめ男性向けマンガ特集】
着たい服がある 常喜寝太郎
去勢という名の服を着て鏡に映るその姿はほんとうの君ですか?
主人公は高身長でクールに見られがちな容姿にコンプレックスがある女子大生。でも本当はかわいいものが好きでロリータファッションに興味があるが周りに隠して生きている。そんな彼女の前に周りの目を気にせずに自分のファッションを楽しんでいるアルバイト先の同僚が現れる。
自分らしく生きることが難しい現代をファッションという切り口から本当の自分とはなんだろうと考えさせられる作品。
主人公は周りと強調していくために個性を出すことにすごく消極的で、主人公の弱さもあるが、少しずつ自分を出していく気持ちに変わっていく。
あなたに捧げる私のごはん 松田洋子
二人の思い出が何より最高のスパイス どんな食材にどんなに手間をかけてもきっとこれには敵わない
保育園から幼馴染の二人が念願叶って結婚。幸せな新婚生活がこれから始まると思われたその矢先、新婚旅行の帰りの飛行機で旦那が急死してしまう。初めて作ってあげたご飯がお供え物になってしまった。そんな主人公が亡き夫に捧げるお供え物をともに食べる日課を描いたマンガ。
グルメ漫画はありとあらゆる方向にあるけれど、お供え物グルメは世界初では?
特に凝った料理は出てこないが、実はその食べ物が夫との思い出の食べ物で二人の共通の思い出を巡っていく。
お供え物を捧げられる側だけでなく、捧げる側の気持ちの整理にもなるのでは?と考え箚せられた。
ほっこりする思い出がたくさん出てくるので、救いのある作品です。
書道教室 筒井秀行
超地域密着型!新感覚書道教室 あなたのお悩みも添削します
サプライズでプロポーズを申し込むも彼にはあっさりフラレてしまい仕事までやめてしまったことをきっかけに、祖母の営む書道教室を次ぐことになった主人公とその書道教室に通う生徒とのなんでもないようでなんだかおもしろい日常を描いた作品。
主人公を含め各話で書道教室の登場人物の持つ悩みにフォーカスして話が進んでいく。その悩みに対するそれぞれの登場人物の思いを書にしたためて発表していくという描写が面白く魅力的。一種の書道教室がグループセラピーのような役割を担っている。
例えば、生徒のおじいさんが餅を喉につまらせて九死に一生を得て、そのことをきっかけに自分の残りの人生を考えるようになり、終活と書にしたためる。そこから書道教室の生徒たちの話題は走馬灯についてになって、どうせ走馬灯を見るなら今日も走馬灯で見られるような1日にしようと前向きに解決していくような話で見ていて前向きになれます。
ラフに書かれているように見えて実はものすごく細かく描かれている絵も見応えがあります。
パンダ探偵社 澤江ポンプ
自分が自分ではなくなるとき、やっと見つけた自分らしさ
絶望のその先を描くカフカ変身の現代版!?
宇内アナ絶賛!
徐々に体が動物や植物に変化してしまう不治の病”変身病”。その変身病にまつわる依頼を専門にする探偵社の話。先輩の竹林と、自らも変身病でパンダ化が進行中の半田という探偵コンビが、個性豊かな変身病患者の様々な依頼を解決していきます。
びっくりするような設定なのに最初の3ページくらいで物語にすっと入っていける。現実にある葛藤やコンプレックスや家族との軋轢のメタファーとしての変身病があるので、変身病というSF設定を除けばどこにでもあるような問題が多くとても読みやすい。
カフカの変身は始まりから終わりまで絶望的だけど、パンダ探偵社は最後には希望もあるエンディングになっていて前向きになれます。
2018年12月18日アトロク トミヤマユキコさん、中澤孝紀さん 【年間ベスト2018特集】
トミヤマユキコさん、既に選んだものはあえて外して、連載中かつ5巻以下のものを紹介!
ダルちゃん はるな檸檬
ごくごく普通の女の子が詩を書くことで自我を獲得していくプロセスを描いていく話。
普通の女の子にももちろん自我はあってそれがけづられたり奪われたりすることを凄くシビアに描いている。昨今のフェミニズム文芸の流れを組む漫画として注目。
エンディングをめぐりSNSなどで賛否両論で盛り上がっていた。
漫画にしかできない表現が面白い。かわいい絵柄で、かわいいけどこういう生きづらさを感じている状況が切実に伝わってきて読みながら辛くなってしまう。性別年齢違ってもまるで自分ごとのように感じられる作品だった。
ほしとんで 本田
まだ1巻しか出ていない。本当は1巻しか出ていない本はなかなか今後の展開がわからなくておすすめしづらいけど、これは文句無しでおすすめできるという作品。
大学1年生で自動振り分けでうっかり俳句ゼミに入れられてしまう男の子の話。別のゼミにうつれると言われても残った5人+赤ちゃんで話が進んでいく。ハーフの女の子、子連れのママ、オタクの男の子などとてもキャラが濃い。
監修に俳句本職の方が携わっているけど、勉強勉強していなくておもしろい。
作中で先生が学生の作品を直す話があるけど、否定するわけではなくてより良くするためのステップだということがすごく説得的に物語を構成しているので、何かものづくりに携わる人は絶対に読むべき!!
見えない違い私はアスペルガー ジュリー ダシェ
人生に必要な漫画の一つ!ノンフィクション。
仕事でもプライベートでも人間関係がなんだかうまくいかない女の子が主人公でアスペルガー症候群だと診断されて人生があるいみ好転していく話。
あなたは病気ですと診断されることはネガティブなことだと捉えられがちだけど、人生うまく言っていない人たちにとっては何者であるかが分かることは実はすごくポジティブなことで、その主人公にとってもそうだった。
診断が確定してどんどん彼女は明るくなっていき、理解のない恋人と別れたり、もう一度大学院に戻って勉強をしたり、よく通っていた本屋の絵のうまい人に依頼して自分のはなしを漫画にしてもらったり、youtuberになったり。とにかく人生がどんどん好転していく話。
昴とスーさん 高橋 那津子
トミヤマユキコさんが今年一番胸キュンした!!SFで且つ胸キュンを味わえる一石二鳥な物語。
あることがきっかけで子供に戻ってしまったシェフのスーさんが、とっても不器用だけどとてもチャーミングな女の子ミヨちゃんと、姉と弟という体で二人で暮らしていく話。
どうやったら元に戻れるかっていうSFストーリーも進んでいくけど、姉と弟として暮らしている2人のラブストーリーも並行していて、ある日突然好きな人が未成年に戻ったらどうするかっていうところも面白い。
名探偵コナンリアル版というか、よりリアルに子供に戻るとしたらという描写が面白い。子供として子供になりきるのではなく子供服を着るのにすごく抵抗があったり、こっそりタバコを買いに行ったり、そういった場面も必見です。
中澤孝紀さんの2018年ベスト作品
既にアトロクで紹介したものを覗いて、個人的に好きなものを紹介。
えれほん うめざわしゅん
漫画はついに漫画を超えた!未知の読書体験がここにある!
読み終わったあとになんなんだ!この本は!とすさまじい世界観に唸らせられる本。
3つの異なるディストピア作品からなっている。
非リア充による独裁政権。非リア充がリア充を取り締まるという世界観。男女混合のバンドを組むのは禁止。バーベキューをすることがテロ行為になっていたり。小難しい内容に見えて、ユーモアのあるギャグ満載。現代日本にある問題をディストピアな世界観に落とし込んでいて、皮肉と知性の効かせ方が高度。SF小説が好きな人には絶対ささるはず!
マグメル水族館 椙下聖海
宇宙よりも面白いSFを超える深海の不思議。知れば知るほど深海生物は宇宙人なんじゃないかって思う。
東京湾深海200mにあるマグメル水族館を舞台に深海生物に魅せられた主人公が飼育員として奮闘しながら成長していく話。
深海生物の不思議な生体が描かれていて、SFに出てくる宇宙人のようで魅力的です。また、登場人物たちの思いや悩みにも深海生物ならではの不思議な生体が上手くリンクしながら進んでいくのも面白い。
海洋生物モノとしても、人間ドラマモノとしても楽しめる作品です。
シガレットアンドチェリー 河上だいしろう
生殺し童貞キラーニュータイプヒロイン誕生!僕もこんな美人先輩に翻弄されたい。
主人公の後輩くんは女性経験のないいわゆる’童貞’で大学の入学式でタバコの似合うクールな美人先輩に一目惚れをし、日々先輩にアタックしていく。先輩のいい女感がすごい!!ツンデレという言葉があるけど先輩はツンデレではなくて、「希望を見せる。でも認めてもいない」先輩の特殊な魅力がある。
恋愛学習初期段階の男性が女性という巨大な他者とどう接して行くかで四苦八苦していくか。
男性にとっては後輩を反面教師にし、女性からすればいい女入門書のようなところがある。
葬送行進曲 ウチヤマユージ
この感情をいったいなんと呼べば良いのだろう。ハッピーエンドでもバッドエンドでもないあの究極のラストシーンに優しい涙が溢れ出す。
1冊読み切り。
行き場をなくしたある1人の男が山村のあるゴミ屋敷にたどり着く。そこに1人の老婆が住んでいてその老婆からある仕事を提案され、二人の奇妙な同居生活が始まる。
思いもよらぬミステリー展開があったり、人の心の闇を描いた作品です。
傷つける側にも悪気がないこともあるし、もちろん気持ちがあるし事情もあるということがしっかりと描かれていて読み応えのある作品です。
2018年11月20日アトロク トミヤマユキコさん 【文学にふれられるマンガ特集】
海外ではマンガはマンガ、文学は文学と分けられておらずそれぞれの接地面はとても広い。日本にもそういうマンガはいっぱいある!読むことで文学にも触れることのできる3作品。
セリー 森泉 岳土
生命活動に適さない外気がある世界。すべてが終わっていく中で、シェルター付きの家にご主人とセリーというヒューマノイドが本を読んだりしながら暮らしている話。セリーやご主人が読んでいる本は実在する本でマンガの本編にその朗読している本が絡んできたりする。とにかくものすごく本を読んでる人でないと描けないマンガ。出てきた本を読んだことなかったり知らなかったりしても読み進められるけど、読んだあとであそこで出てきた本を読んでみよう!と欲しい本が増えるマンガです!
ものするひと オカヤイヅミ
杉浦(30歳)は小説家兼警備員バイトでなんとなく将来有望そうな男。私達が普段小説家って何をしているの?っていう疑問に答えてくれるようなマンガです。小説家ではあるし本も出ているけど、そんなに有名でもない小説家がどんな生活を送っているかなどをリアルに描いている。まわりとのゆるい関係を描いたり。ふんわりしているけど小説を書くとは?とかものをつくるとは?ということも考えさせられるようなマンガ。
電話・睡眠・音楽 川勝徳重
漫画読み界隈では話題の書で作者の川勝徳重さんは1992年生まれの26歳。絵は水木しげる風でガロ系を継承しつつもただのフォローワーにはとどまっていない。原作付きの小説を漫画化した作品も入っている短編集。赤塚不二夫の満州引き上げの時の話など。
2018年9月4日アトロク トミヤマユキコさん【さくらももこさん特集】
ちびしかくちゃん
さくらももこ先生の遺作。亡くなる直前まで不条理でキレキレだったさくらももこ先生がよく分かるマンガ。ご自身の代表作ちびまる子ちゃんのセルフパロディでまる子がしか子になっていて、タマちゃんがだまちゃんになっていて、他のクラスメートも名前がちょっと変わって出てくるけどだいたいみんな暗くて性格悪い。さくら先生には類稀なる批評眼があって、ちびしかくちゃんの中でしか子がちびまる子ちゃんを見る話が出てきて自分のマンガを批評したりもしている。ちびまる子ちゃんだけしか知らない人がこれを見ると混乱するかもしれないけど、これを見てぜひ混乱して欲しい!
2018年7月10日アトロク トミヤマユキコさん【地獄系家族マンガ】
愛と呪い ふみふみこ
ふみ先生の半自伝的作品。主人公の愛子は物心ついた頃から父親からの性的な虐待が始まる。大きくなるに連れて自分が何をされているかがわかってくるし、他の家族も笑ってみている。毒親から外の世界に逃げようにも通っている学校は宗教系の学校で家庭から脱出してもまた別の閉ざされた世界。そこに実際に日本で起こっていた現実のニュースも混ざってきて、現実なのかフィクションなのかわからない。
血の轍 押見修造
究極の毒親が出てくる。息子に対して超過保護だけど、そのディテールが怖い。息子のガールフレンドからの手紙を破ったり。息子に対する態度が恋人のような態度を取る。子供もまだそこまで大きくなってはいないのでおかしいとは思いつつもそこから逃げ出すすべがわからない。とある殺人事件にこの親子も関わってしまい、単純にお母さんから逃げるわけにもいかず、お母さんとどうにかしてそれをのりきらないといけない。
町田くんの世界 安藤ゆき
映画化決定!町田くんは16歳でメガネかけてて頭が良さそうなのにテストが38点だったり、50mを走ったら12.4秒だったり、ご飯を作っても卵焼くか茹でるかしかできなかったり、少女漫画に出てくる男の子にしてはかなり斬新。そんな町田くんの唯一の長所はとにかくどんな人にも優しいこと。町田くんの家は大家族だけど、町田くんが好きな女の子は家族との縁があまりない子で、その彼女が町田くんの家族と接することによって家族のあたたかさを教えてくれる。彼女が町田くんに出会えてよかったー!!
2018年6月5日アトロク トミヤマユキコさん【家族や夫婦のあり方を問い直す最新女性マンガ】
疑似家族や拡大家族のあり方を問うようなマンガが流行っている。血がつながっているからと言って家族と言えるでしょうか?とか血のつながらない人間同士が家族と呼ばれるようになるためにはどうすればいいでしょう?とかそういったことが描かれているマンガ。
1122 渡辺ペコ
すごく仲が良くて基本的にはすべてが上手くいっている夫婦。しかし2人の間にはセックスレスという問題が・・・!そんな2人は家庭内に恋愛を持ち込まなければ婚外恋愛OKにすることにする。もともとは妻がセックスを拒んだが、婚外恋愛をはじめてウキウキしている旦那さんを見てなんとも言えない気持ちになったり、今度は旦那さんに拒まれたり。今度は奥さんが女性向けの風俗に興味を持ち始めたり。そうなったら理にはかなっているけど本当にこの2人はいい夫婦と言えるのか?TBS宇垣アナが風呂場で読んでてこのまま沈んだろか!!と絶望したらしいです。
違国日記 ヤマシタトモコ
35歳のおばと15歳の姪が同居する話。姪は両親を亡くしていて、どうもお母さんと娘はあまり関係が良くなかったよう。また、お母さんとその妹(叔母)との関係もまた良くなかった。姉から昔ひどいことを言われた事をずっと引きずっているけど親戚をたらい回しにされている姉の娘を引き取ることにする。20歳という年齢差を超えてお互いの面倒を見合う。血縁だから自動的に愛せるわけではないけど、でもいつか私の愛し方であなたを愛するよというような光も見える話。
2018年5月8日アトロク トミヤマユキコさん【熟年主人公マンガ】
近年年老いた女性を魅力的に描く漫画が増えている!熟年層を主人公にすることで今までになかった新たな視点が出てくることもある!
メタモルフォーゼの縁側 鶴谷 香央理
WEBマンガが待望の書籍化!おばあちゃんの未亡人が主人公。涼むつもりで本屋に入ってBLに出会う。コミュ障の女性定員が絡むことで話しが進んでいく。いくつになっても好きなものができると世界がどんどん広がっていくし、好きなものを語る友人には年齢や職業は関係ないということを気づかせてくれるマンガ。
セブンティウイザン タイム涼介
70ではじめての出産をするっていう話。長らく子供のいなかった夫婦で、70歳の奥さんが最近調子が悪いと思ったら妊娠していた!超高齢出産なのでまわりの好気の目にさらされてしまうこともある。でも旦那さんは65歳で既に定年済みだから普通のサラリーマン家庭よりも育児に参加しやすかったり。いかに男性が父親になっていくかという話もかかれている。
2018年4月3日アトロク トミヤマユキコさん【労働系女子マンガ】
働いている女の人が出てくるマンガ。女性向けのマンガはどうせ恋愛の話なんでしょ?って思って読まない人もたくさんいるが、それだけではないよ!という働く女性にスポットを当てたマンガ。
プリンセスメゾン 池辺葵
NHKでドラマ化もされた。生活のディテールをすくい上げる系マンガ。年収300万ないくらいの慎ましい生活をしている女の子が自分のためにマンションを買おうと奮闘するマンガ。プリンセスが自分で自分のお城を買う話。都会のシングルガールが自分の人生と自分の住まいをどうするかという話が主人公を中心に語られる話。東京で一人で頑張っている女性が読んだら私も頑張ろうって思えるようなマンガです。
傘寿まり子 おざわゆき
主人公まり子さんは80歳のおばあちゃん。小説家で家族もいて家もあってはたから見ると恵まれているように見えるけど、たくさん人がいてワイワイしているのに誰も自分を見ていないと思って家出する話。ネカフェ難民になったり、昔好きだった人と再開して家に転がり込んだり、ゲーマーのおばあちゃんと外の世界で若いゲーマーと交流したりしながら自分の居場所を探す話です。
凪のお暇 コナリミサト
主人公はごくごく普通のOLで空気が読むのがうますぎてどんどん自分が透明になるのを感じていて、限界を迎え倒れてしまう。それをきっかけに、仕事をやめ、家を引っ越し、彼氏も捨てて無職ライフに突入していく。引越し先で色々な人と出会っていきます。モラハラ気味な元カレとは対象的なバンドマンのおとなりさんと恋愛に発展していくのか!?
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